在宅勤務者へのメンタルヘルスケア
コロナ禍で一気に普及した在宅勤務(リモートワーク)ですが、今までの働き方と大きく変化した人も多い為、ストレスを抱える従業員が増えています。
この記事では、在宅勤務者へのメンタルヘルスケアのポイントをご紹介いたします。
1.実態を把握する
「在宅勤務によるストレス」と言えども、ストレスの原因や、解消する選択肢、置かれた環境は様々です。お勧めしたいのは、まず、労働者がどのような状況におかれているのかを調査することです。
A.ストレスチェック
ストレスチェックは年に1回と思い込まれている企業が多いです。
法定義務は年に1回ですが、自主的な実施により、一人ひとりがセルフケアに役立てることに加え、集団分析によって状況の推移を見ることもお勧めです。
B.アンケート
ストレスチェックの弱点は生の声を聴取しにくいことにあります。
労働者の生の声を聞くために、自由記述も含めたアンケートをとることにより実態が見えてくる部分があります。
C.面談
事業場外資源、産業保健スタッフ、管理監督者等による面談によりアンケートよりも更にリアルな生の声を聞くことができ、その面談そのものがケアにもなります。
2.施策を考える
把握した実態をもとに、衛生委員会等により施策を検討します。
産業医、産業保健スタッフ、EAPのオブザーバー参加など専門家の意見も活用してください。
コロナ禍にあり、保育園や学校等がお休みになっているなど、仕事と家庭の両立の難しさを感じておられる方も多くいらっしゃいます。個人の内面だけの問題でなく、置かれた状況や背景にまで想いを馳せていただきたく存じます。
3.実施する
検討した施策を実施しましょう。
4.継続する
健康づくりは1回で効果がでるものではありません。また、PDCAの考え方でブラッシュアップしながら継続することでより効果的な施策を進めることができます。
ここでも、効果検証ツールの1つとして、ストレスチェックやアンケートの活用をオススメします。全員にこれが成功するという施策はありませんし、在宅勤務者のおかれた状況は様々であることを考えると、継続する中で全体最適な対応を模索することが重要です。
具体的施策の例
実態に応じて効果的な施策を検討することは重要ですが、実態によらない基本的な施策の例をご案内します。
A.セルフケア
事業者は、労働者がセルフケアを実施できるように教育研修等を行なうことが求められています。
- ストレッチ
- 散歩、ウォーキングなどの適度な運動
- 作業環境の整備
- 筋弛緩法
- 呼吸法
- 食事
- 睡眠
- オンラインツールでのコミュニケーション、雑談可能なチャンネルの設置
B.管理監督者、産業保健スタッフ、事業場外資源等による相談対応
- いつもと違う労働者への声かけ
- 健康状態把握のための部署全員面談(15分~30分/人)
- 相談窓口の開設
- ストレスチェックを活用し、高ストレス者及び高ストレス部署に対する医師面接、フォローアップカウンセリングなど
- 産業保健スタッフ、EAP等による常設または定期的な相談機会を設けることもお勧めです
参考資料
厚生労働省などでは以下のような情報提供をしています。ぜひご活用ください。
- テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト 厚生労働省
- 在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン 厚生労働省
- 新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア) 厚生労働省
- いまここケア -おうちで誰でもできるこころのケア 東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野